女性特有の悩みにも、ストレッチが効く!ポイントは「骨盤と股関節」
(インタビュアー小川)
●女性特有の悩みに、ストレッチがどう効くのかお聞きしたいのですが、
生理不順や、重い生理痛、出産後の体型の崩れなど、
こういった症状に、ストレッチは効果的ですか?
(井上さん)
効果はありますよ。
腰痛や肩こりと同じで、
女性特有の悩みの原因も、
カラダのバランスの崩れにあります。
特にポイントは、
骨盤と股関節周りの筋肉です。
●この2つが大事になってくるんですね。
はい。女性の悩みで多いのが、
出産後に、以前の体型に戻らないということです。
妊娠の際、お腹が大きくなっていくと、
お腹の表面の腹直筋という筋肉がどんどん伸びて、
筋肉や筋膜が裂けていきます。
●冷静に考えると、妊娠してお腹が大きくなっていくことって、
ものすごく大きなカラダの変化ですよね。
そうですよね。
ただ、本来は出産後に正しいケアをしてあげれば、
改善していきます。
出産後、2週間ほど安静にしていれば、
ある程度戻るはずなのですが、
出産後すぐの仕事復帰が当たり前だったり、
知識不足のせいで、体型が戻る前にカラダに負荷をかけてしまっている方が
とても多いように感じています。
そうすると、体型が戻りにくくなってしまいます。
出産によって、骨盤が開いてしまいます。
周辺の筋肉のバランスが崩れたまま、
戻らないと、出産前にはなかった
いろいろなカラダの悩みが引き起こります。
●過去に、井上さんが担当された方で、
実際に出産後の悩みで来られた方はいますか?
ちょうど昨日、
出産してから3年経過した知り合いの女性が
崩れた体型を戻したいという相談できました。
そこで、原因を説明し、
ストレッチとトレーニングをレクチャーしました。
ほかにも以前パーソナルを受けに来ていた20代の方で
週1回のレッスンと、普段セルフストレッチをしてもらったところ、
1ヶ月ほどで、出産前の体型に戻りました。
モデルさんのようにウェストが細くなりびっくりしました。
もはや、出産前より体型が良くなっているんじゃないですかね。
●それはすごいですね!
ちなみにどんなセルフストレッチを教えたんですか?
やはり、骨盤や股関節回りのストレッチですね。
やってみましょうか?
●いいですか?ぜひお願いします。
大きく2箇所の筋肉が関係しています。
まず、股関節からももに伸びている大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)
という筋肉とそこから繋がる腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)。
そして、お尻の上部についている中殿筋(ちゅうでんきん)
という筋肉です。
腸脛靭帯や中殿筋が硬いと、
骨盤のバランスが崩れます。
ですので、
この部分を伸ばして、バランスを整えてあげます。
まず、
腸脛靭帯のストレッチですが、
座った状態で脚を90度に開いて、
開いた脚のひざを
地面にくっつけるように意識します。
そうすることで、
股関節からももの横の部分の筋肉を伸ばすことができます。
次に、
中殿筋のストレッチですが、
脚を組んで、脚を抱えます。
組んだ脚を自分の胸のほうに引くよう意識します。
ここのお尻の筋肉を伸ばすことができます。
●井上さんありがとうございます!
骨盤と股関節周りは、特に意識してストレッチを
するべきですね。
そうですね。女性は特に、冷えやむくみで悩んでいる方も
多いですが、改善につながりますよ。
●井上さんとしては、
どんな女性にストレッチを受けて欲しいですか?
自分のカラダに関心を持ち始めた人ですね。
健康や美容に意識を持ち始めた女性は、
いろいろな運動や食事、ダイエットに
チャレンジします。
ただ、まずはその前に、土台として、
ストレッチに取り組んでほしいんです。
●ストレッチは、それぞれの効果を最大限引き出す効果がありますもんね。
はい、
私は小さな成功体験を積み重ねていくのが好きです。
クライアントさんにも同じように、
小さな成功体験を感じてもらえるメニューづくりをしています。
次回の宿題としてやってもらうセルフストレッチも、
一度にたくさん教えずに、一つずつ教えています。
いきなり運動だと続かない人でも、
ストレッチなら継続しやすい。
1日数分のストレッチでも、
十分効果がありますからね。
●ストレッチの良いところですよね。
ちょっとしたことでも、
自分のカラダの変化を感じられると、
人ってスイッチが入るんですよね。
スイッチが入った人って、
家でも自発的にストレッチやトレーニングに取り組みます。
その人がどんどん変わっていく姿を見れるのが
パーソナルトレーナーとして、たまらないですね。
●パーソナルトレーナーのお仕事は、
そういう部分が快感ポイントなんですね。
そうですね。
私は、東海大学で、「健康フィットネス理論実習」という授業を教えているのですが、
その中で、ストレッチも教えています。
最初はあまりやる気のなかった学生さんが、
アンケートで、ストレッチの価値や面白さに気づいたという
コメントを書いてくれたのを見たときも嬉しいですね。
●大学でのストレッチの授業なんて、最高ですね!
大学だけでなく、高校、中学校、もはや小学校でも
ストレッチの授業を行ってほしいですよね。
インタビュアー:小川敬司
場所:某フィットネスクラブ
全米アスレティックトレーナー協会(NATA)公認
アスレティックトレーナー(ATC)
PHIピラティスインストラクター
NASMパフォーマンスエンハンスメント
スペシャリスト
NASMコレクティブエクササイズスペシャリスト
井上 かなえ(いのうえ かなえ)
東海大学卒業後、アメリカネブラスカ大学オマハ校 大学院に留学しアスレティックトレーニング学において修士号を取得。 NATA公認アスレティックトレーナー(ATC)となる。
日米のプロ、実業団、大学、高校のバスケットボール チームにて専属トレーナーを歴任。
現在、東海大学男子バスケットボールSEAGULLSの アスレティックトレーナーとして活動する傍ら、 パーソナルトレーナーとしてトレーニングや機能改善 エクササイズ、ストレッチン グや栄養指導などをアスリートから一般の方まで幅広く行っている。
東海大学体育学部競技スポーツ学科非常勤講師
ヒューマンアカデミー東京校スポーツカレッジ
非常勤講師
セミナー講師など