(インタビュアー小川)●そもそもストレッチのメリットってなんだと思いますか?
可動域が広がることですね。
デメリットは、
伸ばしすぎると硬くなる。
硬い筋肉を伸ばし過ぎると、筋挫傷になる恐れがあることですね。
●怪我した人にはストレッチはしますか?
怪我した人には、場合によってはストレッチをしてはいけないんです。
うちの会社では、ストレッチは予防と怪我の発見に使います。
●予防と、怪我の発見?
たとえば、腕が痛かったとして、
ストレッチをして筋肉の伸ばしてみたときに痛く感じたら、
筋肉が怪我をしているということで、
伸ばしても痛くなかったら、骨・靭帯などの組織が怪我している可能性が高いです。
その見極めだったり、
ストレッチでの方向を変えると、伸びる筋肉も変わるので、
どこの部分の筋肉が傷んでいるか把握するためにも使います。
怪我を予防するため、怪我をみつけるためにスポーツの現場では使うので、
ものすごくストレッチが大事なんです。
そもそも、なんで怪我の予防にストレッチを使うと思いますか?
●筋肉をやわらかくすると、なんとなく怪我予防になると認識しています。
怪我が少ないと言われているイチロー、
実は、体硬いんですよ。
●硬いんですか!?
ストレッチで柔らかいっていうのと、
前屈や股開きをしたときに柔らかいというのは、
まったく異なることなんです。
股を開くというのは、筋肉ではなく靭帯なんです。
靭帯と筋肉は違うんです。
靭帯とは、骨と骨をつないでいて、ドアで言うと蝶番(ちょうつがい)の部分です。
ドアのトビラが骨で、ドアを開ける人が筋肉。というイメージです。
どんなに筋肉が硬くても靭帯(ドアで言う蝶番)の部分がやわらかければ、
股開きはできちゃうんです。

ちなみに僕は、股開きは大きく開けるんですが、
前屈は指の先が地面にギリギリつくぐらいです。
なので、靭帯は柔らかいんですが、筋肉は硬いということですね。
●結局、柔ければ、怪我はしにくいということですか?
そういうことでもないんですね。
柔らかければ、伸びやすい。
伸びやすいということは、反動で縮む範囲も大きくなる。
その分怪我もしやすくなるという理屈になるんですよね。
●う~んなるほど。
ストレッチにしても、
ただ柔らかくすればいいというわけでもないんです。
一番大事なのは、体の使い方なんです。
ただ、靭帯も筋肉も両方硬ければ怪我はしやすくなってしまいます。
なので、ストレッチ専門店は、めちゃめちゃ硬い人が、
ふつうに戻そうよ、という際にはとても良いと思います。
人並みに柔らかくなったらその次は、
「トレーニング」
をするべきなんですよ。
ある程度柔らかくしたら、
今度は筋肉をつけるために、運動することですね。
いきなりトレーニングからしてしまうと、怪我します。
ストレッチばかりずっとやっていても、あまり意味はない。
ストレッチで柔らかくてして可動域が広がったら、
その次は、可動域の広がりに対応できる筋肉をつける。
これが健康的なバランスなんです。
一般的な人の中で、ストレッチって準備体操というイメージを
持たれていると思うんですが、ちょっと違うんですよね。
ストレッチには大きく2種類あるって知っていますか?
静的ストレッチと、動的ストレッチです。
その正しい使い分けをしないといけないんです。
静的ストレッチは、
スポーツの練習直前にやってはいけなんです。
なぜなら、反動をつけずにゆっくり伸ばす静的ストレッチは、
筋肉の神経を眠らせるんです。筋肉の反射速度を落としてしまうんです。
なので、静的ストレッチは、準備運動の前にやったり、
就寝前にやるのに適しているストレッチなんです。
逆に動的ストレッチは、スポーツ前にやるのが適しています。
筋肉を起こすために、体を動かしながら反動をつけて行うストレッチです。
●風見さんの接骨院では、主にアスリートの方が通われていると思うのですが、
一般の方にストレッチをすることはありますか?
教えることはありますよ。
間違ったストレッチをやっている方も多いので。