ストレッチのゴールが決まれば業界が変わる!?
(インタビュアー小川)●今ではだいぶ世の中に認知されてきたストレッチ専門店ですが、
兼子さんが始めたときは、ストレッチ店という概念がなかったのではないでしょうか?
(兼子さん)私がストレッチ専門店を始めた2002年当時、
世の中にストレッチ店というものが存在しなかったですね。
ネットで検索をして、まったくの「0」だったのを確認してからスタートのを覚えています。
世間からは、
「絶対流行らない」
「やめておいたほうが良い」
などいろいろ言われましたが、そんな中で確信を持ちながらやってきました。
それが今では、業界が認知され、ストレッチナビさんみたいな媒体も出てきて、
こうやって取材を受けていることはある意味感慨深いものがありますね。
●鳥肌が立ちますね。なんだか僕まで嬉しくなりました。
そもそもなぜストレッチ店を始めたんですか?
当時キックボクシングをやっていて、
マッサージ店に通ったりしていたんですが、
求める効果が得られなかったんです。
根本的な改善につながるストレッチの効果を実感して、
これはスゴいなと。
でも受けられるところがなかったので、じゃあ自分でやろうと。
まず僕がやったことは、
準備運動としての認知しかなかったストレッチの概念を変えることでした。
そういう意味で、マッサージにケンカを売りました。笑
ストレッチ店を出した時に
「肩こり・腰痛は揉むだけじゃダメなんです」
というキャッチコピーにしましたからね。
そしたらマッサージ屋からクレームが来ました。笑
●完全にケンカを売ったんですね。笑
ですが、
世の中の人も、マッサージなどの対処法に満足してなかった
ので、ある程度リピーターがつきました。
そして次に考えたのは
「症状が出なくなるには、どうすれば良いか?」
ということです。
症状が一度改善しても、またなってしまう。
これでは意味がないなと。
そして行き着いたゴールが「S字姿勢」だったんです。
カラダの痛み・不調は、S字姿勢になれば解消できることが
わかってしまったんです。
ただストレッチをするだけでは、「マッサージよりは効く」
という程度の価値しかない。
そうではなくて、
「S字姿勢になる」
ストレッチは「S字姿勢になるための貴重な手段である」
という意識でやる。
そうするとよりストレッチの価値が高まります。
●なるほど!ストレッチはあくまでも手段で、
そのストレッチを用いて、「どんな理想に向かうか」これが
なければ、手段がゴールになってしまいますもんね。
そうですね。
例えば、
髪を切った。洗って乾かした。でもセットをしてない。
そんな状態ではキレイではないですよね?
だから僕らは、
奥の筋肉を伸ばし、コリを取り、最後S字姿勢にセットしてあげるんです。
そういったゴールを持ってやっている
ストレッチ専門店が少ないと感じています。
●これはとてもわかりやすいです。
スリーエスさんは、スタッフもお客さまも、このS字姿勢という共通の
ゴールに向かっているんですね。
おっしゃる通りです。だから迷わないんです。
とにかく、今の業界に必要なのは、
このゴールを明確にすることだと思っています。
●最近はいろいろなストレッチ店がOPENし、
他店舗展開をしているお店も増えてきましたが、どう思われますか?
ストレッチ業界を広めていくために、
とても良いことだと思います。
その中でいかに「質を保つこと」ができるか。
そこがポイントだと考えています。
うちのスタッフはすべて正社員で、アルバイトは雇いません。
そして質を保つために、あえてお店は今の数から増やしていないんです。
業界のトップとして、常に三ツ星レストランの基準でいないといけないと
思っています。
●業界が広まっていく上で、いろいろな考えのストレッチ店が増えていくと思います。
どうすればもっと業界が認知されると思いますか?
ストレッチが認知されるというのも大事ですが、
ストレッチをすることでどうなれるかの「ゴール」が広まることが大事だと思います。
「ストレッチされて姿勢が良くなった」
と言う人が増えることが正しい広まり方で、
「ストレッチ店が増えたよね」
と言う人が増えたのでは、それはゴールが認知されていないということなんです。
その状態では文化をつくれてないんです。
「S字姿勢」と言うと、うちのキャッチコピーぽくなってしまいますが、
「生理湾曲をつくる」
ということが、全国のストレッチ店の共通のゴールになっていけば、
業界全体が正しい方向に進んでいくと思っています。
実は僕たちは、
同業者の方たち向けの講習会などもやっています。
僕たちが掲げているゴールに共感してくれた方に、
知識やノウハウを提供しています。
●兼子さんのお話を聞いて、業界全体が目指すべき共通のゴールを
全国のストレッチ専門店が持てたら、とても素晴らしいことになると思いました。
ストレッチ業界を広めるには、
個々で頑張っているだけではダメだと思っています。
現状、マッサージ店が約5万店舗、ストレッチ店が300店舗という
状況を変えていくために、業界全体が一つのゴールを持つ必要があります。
業界をつくってきた僕たちは、
業界のゴールをみんなで共有するための仕組みや、
正しい知識やノウハウを教える環境をつくることが役割だと自負しています。
そして僕がさらにその先に考えているのが、
「ストレッチの資格の国家資格化」です。
●国家資格化ですか?
はい、そして、
姿勢教育の義務教育化も実現させたいと思っています。
●うわ、それは絶対良いですね!
小学生のうちから姿勢教育を受けて、正しい姿勢の子供たちが増えたら、
大げさでなく、日本人の可能性がいっきに広がりますね。
「ストレッチの国家資格化」
「姿勢教育の義務教育化」
この2つは、業界の方なら誰もが共感してくれると思いますし。
僕らが死んでもその後の日本に残っていくことです。
僕はこれを実現させたいんです。
●これまでのお話を聞いていると、
兼子さんが掲げたビジョンが、会社全体に浸透しているなと感じます。
スリーエスのみなさんを見ていると、良い意味で文化祭みたいな印象を受けます。
それ良いフレーズですね。
確かに毎日が文化祭みたいな感じですね。
僕自身、ストレッチ屋が好きだから、
それが伝わって、スタッフ全員が本気なんですよね。
僕に内緒で30連勤したり、朝練で皇居走ってカラダを鍛えたり、
みんな自発的に動いているんです。
それはなんでかって言うと、
ストレッチ、姿勢改善を広めたいというビジョンがあるからなんです。
ビジョンがあるとみんな迷わないんですよ。
●やっぱり、ビジョンなんですね。
会社にも、業界にも、しっかりしたビジョンがあれば、
関わる人みんながイキイキと自分から動けるんですね。
そうですね、
それはうちの強みですね。
インタビュアー:小川敬司
撮影:平田ちか
場所:スリーエス渋谷本店
スポーツストレッチング専門店SSS(スリーエス) 代表
新日本キックボクシング協会 日本フェザー級2位
兼子 ただし(かねこ ただし)
日本で初めてストレッチ専門店「スリーエス」を開業した
ストレッチ店業界のパイオニア。
趣味であったキックボクシングで、プロライセンスを取得し、
現在も新日本キックボクシング協会日本フェザー級2位の現役選手として活躍中。
独自で学んだスポーツストレッチをベースに、
スポーツ選手、プロダンサー、芸能人、モデル、一般の方まで
様々なクライアントを指導している。
また、姿勢教育ーSレッチング主宰を筆頭に、
小学校での姿勢教育、国士舘大学大学院との共同研究、大妻女子大学OMA講師を務める等、
スポーツ界だけではなく、様々な分野での活動も目覚しい。
スリーエスの累計来店数は約36万人を超え、
その技術の確かさが話題になり、マスコミやメディアへの出演も多数に及ぶ。数多くの書籍も出版。
情報
兼子ただしさんオフィシャルブログ
S字で日本は変わる!
http://ameblo.jp/ssskaneko/
SSS(スリーエス)HP
http://www.sss-groupjapan.co.jp/
兼子ただしさんfacebook
https://www.facebook.com/tadashi.kaneko.50
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