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知らなかった。肩こりの原因と具体的なストレッチ方法を紹介
コラム
2015 11.21
日本でも多くの人が抱えている悩みの1つである 『肩こり』。
今回の記事では、肩こりの原因をしっかりと説明し、その原因に効果的なストレッチの方法を紹介させていただきます。
肩こり改善の為の具体的なストレッチ方法は動画でも説明しているので、そちらも是非ご覧ください。
肩こりの原因って・・・
『肩こり』と言っても人によって、肩のてっぺんだったり、肩甲骨(けんこうこつ)の角から首にかけてだったり、背中だったりと、様々な場所がありますが、
その原因を大きく占めているのが肩甲骨の間違った動きです。
肩甲骨は肋骨(あばら骨)の表面に乗っかっていて、唯一骨で繋がっているのがデコルテラインなどでおなじみの鎖骨だけ。
ほとんど筋肉だけで肋骨にくっついている骨だからこそ、沢山動けて腕を自由に使えるんですが、その分間違った動きをしやすいんです。
肩甲骨の正しい動きの鍵は上方回旋!
肩こりを引き起こさない為には、肩甲骨を正しく動かす必要があります。
肩甲骨の動きには、以下の6つの動き方があります。
肩甲骨を上に挙げる動き
2.下制
肩甲骨を下に下げる動き
3.外転
肩甲骨を背骨から離す動き
4.内転
肩甲骨を背骨に近づける動き
5.上方回旋
肩甲骨を回転させながら背骨から離す動き
6.下方回旋
肩甲骨を回転させながら背骨に近づける動き
その中でも、日常生活で手を使うほとんどの動きで上方回旋(じょうほうかいせん)を使っています。
少し専門的な言葉で「肩甲上腕リズム(けんこうじょうわんりずむ)」というものがあります。
肩を動かす時に腕と肩甲骨が2:1で動くというもので、もし肩甲骨が正しく動かないと、肩は本来の動きができないだけでなく、負担がかかりやすくなり、肩コリになってしまいます。
上方回旋を行う筋肉
肩こりを引き起こさない為には、この『上方回旋』という肩甲骨の動きが重要だということは分かっていただけたでしょうか?
次に説明するのは、直接的に肩甲骨を動かす筋肉についてです。
肩甲骨を動かす筋肉を理解し、肩こりの根本的原因となっている筋肉を説明したいと思います。
まずは肩甲骨を動かす以下の5つの筋肉を紹介します。
引用元:ナツメ社 骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ 深代千之
肩をすくめる時などに使う筋肉
2.前鋸筋(ぜんきょきん)
肩甲骨を外側に動かす時などに使う筋肉
3.小胸筋(しょうきょうきん)
肩甲骨を下げる時などに使う筋肉
4.菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨同士を近づけて胸を張る時などに使う筋肉
5.肩甲挙筋(けんこうきょきん)
肩甲骨同士を近づけながら肩をすくめる時などに使う筋肉
なかでも、僧帽筋(そうぼうきん)と前鋸筋(ぜんきょきん)と呼ばれる筋肉が上方回旋を行っている筋肉なんですが、
現代人は、前鋸筋を使えていない方が多く、僧帽筋ばかり使ってしまうため負担がかかり、これが肩のてっぺんの肩コリになります。
引用元:ラウンドフラット オーチスのキネシオロジー
また、僧帽筋が緊張すると、マッチョのポーズのように肩が持ち上がり、首が短く太くなるので、
顔が大きく見えたり、背中が丸まって猫背になったり、二の腕が使えず腕が太くなったり、呼吸が浅く疲れやすくなったりと、
肩コリ以外にも美容や健康にも様々な悪影響を与えます。
引用元:http://kinnikubaka.com/news/archives/2368
大切なのは、前鋸筋を使えるようにすること!
引用元:医学書院 アナトミートレイン第2版
肩甲骨の動きにおいて、
そこで次は、
前鋸筋(ぜんきょきん)は、筋膜(きんまく)という複数の筋肉を包んで繋げる膜によって菱形筋(りょうけいきん)と繋がって連動しています。
そのため、前鋸筋が使えず動きが悪くなっていると、先ほど紹介した僧帽筋(そうぼうきん)だけでなく、菱形筋にも負担がかかる為、これが背中のコリに繋がってきます。
菱形筋というのは胸を張って背筋を伸ばす時などに使う筋肉ですので、菱形筋の負担が軽減することで、胸も張りやすく姿勢も良くなります。
前鋸筋は美容や健康にも効果的
つまり、前鋸筋(ぜんきょきん)は肩甲骨(けんこうこつ)の動きだけでなく、スタイルや姿勢に重要な役割を持っているのにも関わらず、使うことができていない為、
そこに関係している他の筋肉に負担がかかって肩コリになっているんです。
この前鋸筋を使えるようにするだけで、肩コリが改善されるだけではなく、下記のような女性にとって凄く嬉しい効果を期待することができます。
前鋸筋を使えるようになる「肩甲骨のOCLストレッチ」を紹介!
そこで今回は、前鋸筋(ぜんきょきん)を使えるようにすることで、肩甲骨が正しく動いて肩コリの改善に繋がるOCLストレッチを特別にご紹介致します。
動画を見る事が出来ない方は、次の順番でOCLストレッチを行ってみてください。
1.指を開き手の平を正面に向け、片手を横から挙げる
2.手の平を正面に向けたまま肘を直角に曲げる
3.反対の手で手首を後ろから握る
4.握った手首を上に捻る
5.挙げた手と反対側の膝を曲げカカトをあげる
6.肘は曲げたまま、カカトをあげた側に体を倒す
7.手首を真横に引く
8.息を大きく吸う
9.左右交互に2~3セット
もちろん、前鋸筋だけが原因でない場合もありますので、それでも症状がある方は他の部分の問題もあるのかもしれません。
例えば、最初にお話しした肩甲骨の筋肉の中で出てきていない小胸筋(しょうきょうきん)と肩甲挙筋(けんこうきょきん)。
この筋肉が原因の肩コリももちろんあります。
そんな小胸筋と肩甲挙筋のお話しとそのためのOCLストレッチに関してはまた今度ご紹介したいと思います。
この専門家について
押方匡介
OCLストレッチ代表
一般的な「筋肉を伸ばす」というストレッチに疑問を感じ、機能解剖学や生理学を基に、関節を整える整体効果のあるOCLストレッチを創案。
その即効性と安全性から、プロ、アマ問わず、多くのアスリートやダンサーなどに賞賛されている。
施術としてのストレッチと患者さんが一人でできるストレッチ指導の両方を同時に学べるOCL講座を開講し、OCLストレッチの更なる研究と普及にも務めている。
- 2015.11.21