Interview & Column
インタビュー&コラム
負のスパイラルの始まり!!高齢者の転倒とQOL低下の関係について
コラム
2016 02.13
突然ですが、転んだことはありますか?
もちろん、みなさん【はい】という回答になりますよね。
転んだことが無い人なんていないですよね。
近年は、携帯を触りながら歩いている人が多いので段差に気が付かずに転んだり、つまずいたりする人も多いのではないでしょうか。
そういう意味では高齢の方は、携帯を触るときは必ず止まって操作するので若い人に比べると、ながら歩きによる足を踏み外して等の不注意転倒は少ないかもしれません。
若い人が転ばないのは、身体の判断力と筋肉がまだあるからです。
身体の衰えは誰しもが必ずおこります。
携帯電話を触りながらのながら歩きが習慣になった方が年齢を重ね、身体が衰えたときにもながら歩きをしていたら?
医療費、介護費が増え増税!ということも起こるかもしれません。
転倒が増税につながる可能性がある!
そんな馬鹿な、と思いますよね。
それくらい高齢者の転倒は深刻な問題です。
転倒者個人の問題でもあり、日本は高齢社会のため社会的問題でもあります。
Ⅰ.転倒の原因及び高齢者の転倒が危険な理由。
※一例をここから述べますが、他にも原因や危険要因はたくさんあります。
1. 転倒の原因とともに転倒後にも影響がある
・筋力
筋力はいつでも誰でもつけることができます。
しかしその成長スピードは高齢者だと遅く、さらには筋肉を構成する筋繊維数の減少と筋繊維自体が萎縮してしまうことによる、筋肉量の低下が起こります。
・関節
関節痛に悩む方も年齢が上がると増加します。
その原因は関節軟骨の変性です。
関節軟骨の変性が進行し、徐々に軟骨がすり減って変形性関節症となれば、それに伴う関節痛や関節の動きの制限のため、日常の活動性が低下し、それがまた関節を動かすことを減少させ、さらに関節の動きを悪くします。
関節軟骨の変性は20歳代から始まります。
荷重のかかる膝関節、股関節や手関節に多く出現します。
2. 転倒の原因となる
・三半規管
三半規管は平衡感覚をつかさどる器官で、この三半規管の機能も加齢で低下します。
この機能が低下すると、バランス感覚が崩れます。
転倒の前には体のバランスが崩れます。
バランスが崩れたと感じると、耳の内側にある三半規管が感じて脳に知らせます。
情報を受け取った脳はバランスを回復させるために筋肉を収縮させて元の状態に戻そうとします。
3. 転倒後問題となる
・骨密度 (転倒後に関わる)
骨密度(BMD)とは骨塩量や骨塩定量、骨量とも呼ばれ、言葉の通り骨の密度を表しています。
骨に存在するミネラル(カルシウムなど)がどの程度あるかという単位面積あたりの骨量を示し、骨の強度を表しています。
骨はコラーゲンやミネラルなどの成分でつくられており、骨代謝により毎日新しい骨に生まれ変わっていますが、骨密度が減少すると骨が弱くなり(骨の中がスカスカな状態及び強度も弱まり)ちょっとした衝撃で骨折につながります。
わかりやすくお菓子で例を上げます。
通常の骨はチョコ棒のように、中までぎっしりチョコが詰まっています。(チョコ棒によっては真ん中に空洞があるものもありますが…)
それに比べ骨密度が低い人の骨の中は麩菓子のような状態です。
ぶつけたときに脆い(形が崩れやすい)のは、麩菓子ですよね?
骨密度が低いと、少しの衝撃で骨折等の大怪我につながります。
加齢に伴い関節や筋力、三半規管の機能低下がおこります。
この機能低下が転倒の原因であるとともに、自分の感覚、意識と実際に動く身体の相違が生じていることも原因としてあげられます。
若いころはつまずいても踏ん張れたのが、この踏ん張りがきかない。
それは加齢による筋力低下と感覚認知の遅れが招いており、問題はつまずきが転倒になる。
つまり加齢に伴って転倒を防ぐのが難しくなるということです。
そして高齢者の転倒は骨折のリスクが高まるということです。
Ⅱ.高齢者の転倒による骨折とQOL低下の関係
加齢による転倒は、骨密度が低いことにより骨折の可能性がでてきます。
若いうちは、転んでしまった。
というような苦笑いで済むかもしれませんが、高齢者にとっては骨折という重症につながるリスクが上がります。
特に下半身の骨折はQOL(生活の質)に直結する重大な問題です。
もしも骨折していたら?
若いうちは治りも早く、リハビリをして筋力と関節の可動域を戻せばいいのですが、高齢の場合そう簡単な話ではなくなります。
ここから再度筋力と関節の問題が出てきます。
日常生活を送っているだけでも高齢者の筋肉は低下していってしまいますが、動かせない状態ですと高齢者の筋力は著しく低下します。
そして関節も同様に動かせないと固まってしまいます。
筋肉は関節間についているものですので、関節の可動域と関係があります。
リハビリで筋力をつけるだけでなく、関節を動かすのは関節が動かないと困るという単純な理由だけでなく、筋力をつけるにも関節の動きが関わっているからです。
もともと可動域が悪くなっている関節と、成長スピードの遅い筋力トレーニングを行っていかなければならないのです。
当然筋力が低下した状態ですし、関節の動きが悪いので、リハビリ中は更に転倒のリスクは上がります。
それでも寝たきりにならないために動かないとならないのです。
転倒後、転倒するのが怖くて歩けなくなる方や、なかなか以前のように動けずストレスを感じる人は少なくありません。
こうしたことから当然転倒した高齢者にはメンタルのケアも必要になってきます。
いかがですか?転倒も高齢だと大変なことなのが少しは理解できましたか?
高齢者の転倒は
転倒の負のスパイラル(転倒→筋力低下等→転倒)
高齢者のひきこもりを引き起こし、寝たきり高齢者をつくってしまう可能性が高くなります。
Ⅲ.転倒を防ぐ
転倒しない。これが一番ですが、可能なのか。
答えは転倒しないは難しいです。
しかし、転倒を防ぐ(転倒しにくくなる)ということは可能です。
運動やストレッチで転倒は防げます。
また、ウェーブストレッチリングを使うと簡単に手軽に転倒防止の運動とストレッチの両方が可能です。(http://www.wavestretch.com/)
ウェーブストレッチリングを使った転倒防止や転倒防止のためのストレッチ&運動は、また次回の【高齢者 ストレッチ】で詳しく書こうと思っております。
ただ、せっかく読んでいただいている方のために、今回は1つだけ紹介いたします。
これは、やった後に違いがわかりやすいので是非お試しください。
足裏のほぐしと背伸び(踵上げ運動)
身体の現在の状態チェック
①足を肩幅に開きます。
②リラックスして目を閉じます。
③今、足の裏のどこに重心が乗っているか確認してみてください。
④目を開けて少し歩きます。(この時も足の裏がどこに重心が乗っているか確認。)
⑤足裏ほぐし&背伸び
立ったままできる方は、立ったままで行います。
最初は壁の近くで壁に手をつきながら行いましょう。
※立ったままが厳しい方は椅子でも同様にできます。
①ウェーブストレッチリングを写真のように足の裏に入れます。
(まずは、足の指10本が入るようにして、踏みます。)
②足踏みをしながら、指から踵まで前後に動いていきます。
最初はゆっくり指から足まで3往復、そのあと、少し早く指から足まで3往復。
※痛い場合はタオルを足裏とウェーブストレッチリングの間に入れるか、ソフトタイプ(柔らかいタイプ)を使用してください。
③①と同じ形に戻したら、指でつかむようにウェーブストレッチリングを握ります。
普通に握る2回、親指から小指というように一本ずつ握る2回、反対の小指から親指2回。
④③でやったように、全部の指で握ったまま、踵を上げて下します。
最初はゆっくり上げ下げ3回、慣れてきたら一番上で少し止まるように5回
※ご自身のペースで無理なく行ってください。
痛い場合は使用を中止してください。
また、病院に通っている方は医師に相談の上行ってください。
使用後の身体の状態チェック
①足を肩幅に開きます。
②リラックスして目を閉じます。
③今、足の裏のどこに重心が乗っているか確認してみてください。
④目を開けて少し歩きます。(この時も足の裏がどこに重心が乗っているか確認。)
いかがでしたか?立った時に足の指がしっかり地面に接していたのがわかりますか?
歩いた時にしっかりと地面ととらえ、蹴れたのがわかりますか?
ちなみに、ウェーブストレッチリングを使用しないで行うと、足の裏で踏む、つかむ動きは、健康棒や青竹踏みを使用して似た感じではできるかもしれません。
踵上げの運動は下記のような感じになります。
ウェーブストレッチリングを使うと、足の裏のストレッチ&ほぐしと運動ができ、さらに使った人しかわからない良さが体感できるはずです。
この運動も、ウェーブストレッチリングがあるのと、使わないもしくは代わりの物を使って行うのと全く異なります。
ご機会ございましたら一度お試しください。
効果抜群のウェーブストレッチリングはこちらからどうぞ!
またこの運動は若い方にもおすすめです
・脂肪燃焼
・痩せやすい体質に変わる
・冷え症改善
・血行促進
・下半身のむくみ改善 など
老若男女問わず、行った方がいい運動ということですね。
さて、やり方が一つの動作でなく複数だった為、長くなってしまいましたが、今回は転倒防止運動やストレッチの前段階、転倒しないために普段の自分をチェックして、正しい歩き方だけ覚えてください。
1.転倒する可能性がある身体
①バランスが悪い
片足立ちできますか?
立ったまま靴下はけますか?
②姿勢が悪い
猫背になっていませんか?
でっちり(お尻が出る)じゃないですか?
③筋力が少ない
信号が青の間に横断歩道渡れますか?
平らな道でつまずくことはありませんか?
④視力が悪い
足元にあるもの、これから歩く方向に何があるか見えますか?
2.歩行チェック
普段歩いている靴を見てみてください。
靴床の減り具合で転倒の可能性が高いかどうかチェックできます。
転倒防止のために正しい体重と歩行
正しい歩き方は転倒を防げます。
そして正しい歩き方をするためには、バランス、姿勢、筋力が必要となります。
逆にいうと、正しい歩き方をしているとそれだけで転倒しない身体を作れるということです。
※正しい姿勢ができていない状態で歩き方や足裏の体重移動だけではケガや転倒の原因になることもあるので、ご注意ください。
この専門家について
牧 直弘さん(ウェーブストレッチ協会)
有限会社MAKIスポーツ 代表
NPO法人日本ウェーブストレッチ協会 理事長
牧 直弘(まき なおひろ)
都内のスポーツクラブにてチーフインストラクターとして活躍後、フリーインストラクターとして気功、太極拳、護身術、操体法、
25年以上にわたる様々な指導経験から、身体のしなやかな動きの要である「ボディ・アーチ」に着眼し、
タレント女優、
ウェーブストレッチリングの特許・意匠・商標を所得し、
現在、講習会、テレビ、雑誌などで活躍する中、ストレッチリングの指導や指導者育成に力を注ぐ。
- 2016.02.13