10日間の修行で見つけた、腰痛が消える「骨盤の傾き」
(インタビュアー小川)
●そもそもなんで、腰痛コンサルタントとして活動するようになったんですか?
(前島さん)まだ自分の腰痛に悩んでいた時期に、
10日間一切言葉を発してはいけない「ヴィパッサナー瞑想」という修行に参加したんです。
ただ、参加して後悔したのですが、
腰がイタくてイタくて、瞑想どころではありませんでした。笑
もう本当につらくて。
瞑想中に無意識に、腰がイタくない姿勢を求めてカラダを動かし続けていたんでしょうね。
気づいたら、腰がイタくない姿勢の感覚をつかむことができたんです。
腰痛を改善するには、姿勢が大事で、正しい姿勢は、骨盤の傾きが重要なんです。
以前の僕は骨盤がとにかく前傾になっているほうが
良いと考えていたんですが、それがちょっと違ったんですね。
この10日間の修行の中で、自分の理想の骨盤の傾き具合を掴んだんです。
●日々の中で骨盤を矯正するにはどんなことに気をつけるべきですか?
日本って便利で快適な文化なんですが、
例えばこのイス(取材時に座っていたイス)
やわらかくて、座る面は、前が高く、後ろ側に少し傾いています。
骨盤が後ろに傾斜してしまうので腰にはあまり良くないですね。
●どんなイスが良いんですか?
座る面が平ら、もしくは少し前に傾いているようなイスがいいですね。
骨盤が前かがみになるやや前に傾いているほうが腰には良いんです。
●じゃあひょっとして、今前島さんが座っているふかふかのイスより、
こちらの安いパイプ椅子のほうが腰には良いですか?
はい、僕なら迷わずパイプイスを選びますね。
●それは驚きです!
新幹線のイスもひどいんですよね。
腰に負担がかかるんです。
日本人はもともと骨盤が後ろに傾斜している人が多いです。
なのでなるべく骨盤が前に傾けられるようなイスを選ぶのが良いですね。
●自分で良い姿勢を取り戻すことが、
腰痛を失くす方法なんですね。
そうですね。
●マッサージはどうですか?
腰痛のそもそもの原因は、
姿勢が悪かったり、運動不足だと思うんです。
デスクワークでイスに座りっぱなしなことも多いですし、
スマホをいじっているとさらに姿勢が悪くなる。
すると姿勢を支える深層筋が硬直してしまうんです。
姿勢を支えるための機能を失った筋肉を補うために、
他の筋肉が動き出すのですが、その筋肉は本来はその役割を
果たすための筋肉ではないので無理が出てしまう。
その結果、痛みが出てしまうんです。
マッサージでは深層筋に届かず、ほぐすのは難しいです。
深層筋をほぐさないと腰痛は良くならないんです。
●深層筋をほぐすにはどうすればいいんですか?
普段の感覚ではなかなか動かすのは難しいので、
プロからアドバイスを受けて、ストレッチや体操をすることで
深層筋にアプローチしていきます。
僕も自分で、深層筋を動かすストレッチを編み出しました。
ストレッチももちろん良いのですが、
僕が一番押し推しているのは、「体操」なんです。
●体操ですか?ストレッチとどう違うんですか?
深層筋をほぐすには、
ストレッチのように伸ばす方法もあるのですが、
それとは別に、
筋肉を限界まで緊張させて、パッフッとチカラを抜くことで緩ませる方法もあるんです。
これを僕は体操と言っています。
●実際に見せてもらうこと可能ですか?
いいですよ。
一番わかりやすいやつが、四つん這いになる体操です。
●これはどこの筋肉に意識を集中してるんですか?
肩甲骨を寄せて首を上げることで、
背中の菱形筋という奥の筋肉を刺激しつつ、
さらに、骨盤を前傾させることで、
背中の縦のラインに走っている脊柱起立筋という筋肉も刺激しています。
グッと力を入れてパッフッとチカラを抜くとと話すと、深層筋が緩むんです。
この体操をはじめ、もともとあったものや、自分で編み出した体操を
みなさんが自分でできるように、ブログなどで発信しています。
最終的には姿勢が良くならないと、腰痛の根本改善にはなりませんし、
姿勢が良くなると、自分のコンディションやパフォーマンスが良くなる。
僕自身、腰が痛くて勉強に集中できなかったのが、腰痛が改善して成績が
良くなったことが嬉しくて。痛みがなくなるだけでなく、いろいろな面で
良い影響があると思っています。
●とにかく前島さんは「正しい姿勢」にフォーカスしてるんですね。
そうですね。
体操以外に、僕がアプローチしたいのは、「脳」なんですよね。
●脳ですか?
はい。
「正しい姿勢をしてください」
と言われて、本当に正しい姿勢をできる人ってなかなかいません。
そもそも脳に描かれている「正しい姿勢」が間違っているんです。
正解がイメージできていないんです。
●なるほど、確かに、どんな姿勢が正しい姿勢なのか、
教わったことないですし、感覚がわからないです。
ということは、正しい姿勢を脳に描き、それを実践することが
大切なんですね。
そうなんです。
正しい姿勢とは、体を「骨」が支えている状態。
姿勢が悪いと、骨ではなく「筋肉」で支えるようになってしまうので、
体が硬くなってしまうんです。
赤ちゃんの姿勢が正しい姿勢なんですよ。
赤ちゃんって良く見ると、すごく姿勢が良いんですよね。
彼らは筋力がない代わりに、体を上手に使って体重を骨で支えているんですね。
その状態を目指していくことが重要です。
脳へのアプローチというのは、要は、
正しい姿勢を脳に覚えさせて、それを常に意識していくと
無意識でその姿勢を保てるようにすることです。
正しい姿勢を知り、意識することで脳にインプットしていくことです。
すると、次第に無意識でも正しい姿勢が出来るようになります。
●前島さんが普段意識している座り方を教えてください
骨盤を前傾させるのが良いので、
お尻を奥に押しこむように深く座り、股を大きく開くと良いですね。
背もたれに骨盤を押し出してもらう方法がオススメです。
逆に、
イスの先端に浅く座るという座り方もあります。
その上で股を開いて座ると、腰に負担をかけないですね。
先端に座って膝を骨盤より下げるようにすると、自然と骨盤が前傾してしまうんです。
●最近増えているストレッチ専門店について、
どう思いますか?
マッサージ店よりは、良いアプローチだと思っています。
正しいストレッチが出来れば、腰痛や肩こりに効果があると思います。
ただ、それだけではやはり正しい姿勢を身につけることが難しいので
ストレッチの他に正しい姿勢のための努力も必要でしょう。
ただ、どこまで正しい知識をもってやれているのかなというのは
気になっています。
腰痛の専門家と言われている方でも、
腰痛の正しい部分をわかっていない方もいるので。
●どうして正しい知識を持っている人が少ないと思いますか?
筋肉に関する知識っていうのは、
西洋医学には欠如していると言われています。
お医者さんですら、筋肉の知識はあまりないんです。
筋肉の知識がないと、本質的な改善は難しいですよね。
これは僕の個人的な意見なんですが
近年の資格ブームの影響か
ものすごい勢いで柔道整復師などの資格を取り、接骨院などで働く人が増えています。
実際街を見ても、「そんなにいらないだろッ」ってほどたくさんの整体院がありますよね。
すると、自然と腰痛に関する本当の知識を持っている人とそうでない人に分かれてしまいますね。
彼ら全員が本当に腰痛を治せるのなら
あれだけたくさんの整体院はどんどん潰れてしまうでしょう。
結局のところ
気持ちいいマッサージをして、また痛くなったら来てもらう。
そんなビジネス的な構造が垣間みられますね。
お客さんも知識が少ないので、本質的な改善を求めるというところまでいかないんです。
1週間に一度マッサージに通い、
「気持ち良いから効いている」
ということで満足してしまっているのが現状かもしれません。
ある意味、
お客さまのニーズとサービスの提供側のニーズがマッチしてしまっているんです。
僕自身は、整体院に通い続けましたが、
腰痛が良くならなかったので、「これはなんだかおかしいな」と感じていました。
●なるほど、「根本的に治せる」ということをたくんさんの方に知ってもらうために、
正しい知識を広めていきたいですよね。
(インタビュアー:小川敬司)
腰痛コンサルタント
前島 ハヤト(まえじま はやと)
中学受験の猛勉強をきっかけに、幼い頃から極度の腰痛に悩まされ続ける。
高校生のときに、10日間一切言葉を発してはいけない「ヴィパッサナー瞑想」という修行に参加。
正しい姿勢でなければカラダに強い負担がかかり痛みが出てしまうという極限の状態の中で、
「本物の正しい姿勢」の感覚を発見。これをきっかけに腰痛の根本原因の研究し、腰痛とは無縁の身体を手に入れることに成功。
腰痛を克服した自身の経験をもとに「独自メソッドの骨盤矯正ストレッチ」を開発。
腰痛コンサルタントとして活躍中。
情報
【前島さんYouTube】前島隼人YouTubeチャンネル