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「肩甲骨は異端児?」肩甲骨のストレッチが肩こりに効く理由とは?


(インタビュアー小川)●丸山さんは、マッサージ、鍼(はり)、ストレッチを組み合わせた
施術をされるということですが、ストレッチはどのように使い分けているんですか?

(丸山さん)私たちは施術によって「筋肉をゆるめる」ということがコンセプトになってきます。
その中で、

・ストレッチは、関節の可動域を広げるために
・マッサージや鍼は筋肉をやわらかくするために

こういった使い分けをします。

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関節の可動域が広がる(柔軟性がupする)ことと、
筋肉が柔らかくなるということは、実は意味が異なります。

●えっ!どういうことですか?

例えば、フィギアスケート選手やバレエダンサーの演技をみて、
体が柔らかいと感じる方が大半だと思います。
体が柔らかい、柔軟性が高い人の筋肉が柔らかいかというと、
そうではなく、関節が柔らかいのです。

●「筋肉が柔らかくなる」ことと「柔軟性が高まる」ということは
ごちゃごちゃになってしまっていました。

勘違いしやすいですよね。

肩こりで言うと、
痛みが出てしまっている部位は肩の筋肉が硬くなっています。
マッサージや鍼は、硬くなった筋肉を柔らかくするために行います。

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ストレッチはどのように使うかというと、
全身の筋肉、関節のバランスを整えるために行います。

マッサージ・鍼とは、目的が異なりますが、
ストレッチする筋肉も硬くなっている筋肉以外のところに対して行うことが多いのです。

わかりやすくいうと、鍼やマッサージは、ツライと自覚されている部分、
ストレッチは、ツラいと自覚されている部分以外の所に対して行うことが多いです。

●そもそも肩こりの原因ってなんですか?

大きく分けると、
ハード面とソフト面があると思います。

●ハードとソフト、ですか?

はい。
ハード面とは例えば、日々の姿勢が悪かったり運動不足だったり、
カラダのバランスを崩したことにより症状が出ることです。
見て、手で触れることができる筋肉・骨格・関節などによるものです。

ソフト面とは、
過度なストレスを受け続けたことで、自律神経のバランスが崩れてしまったり、
元々の体質として自律神経が乱れやすいことが原因として多いですね。

天気や気圧の変化で、頭がいたい、関節が痛いといった様々な症状がでやすい方は
自律神経が乱れやすい方に該当します。

自律神経が崩れて、交感神経が優位になり、
筋肉の緊張状態が続いてしまうと、その影響が首や肩に顕著に出てしまいます。

●なんで首や肩にモロに影響が出てしまうんですか?

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交感神経の重要なポイントが首にあるためです。
専門用語となってしまうのですが「交感神経節」といいます。

例えるならばツボの様な部分とお考え下さい。
これらが首から背中にかけて、多くの方がつらくなりやすい部分に数珠状に連なっています。

あとはストレスを感じていると無意識に歯を噛みしめがちです。
これも首に負担をかける大きな原因となります。ただ、これはハード面とも言えますね。

ストレスが多い現代社会だからこそ、肩こりを持っている方が多くなっているのだと思います。

●そもそもなぜ肩こりにストレッチが効くんですか?

肩こりにストレッチが効くというよりは、肩こり改善する上で重要なのが肩甲骨です。
肩甲骨は肩こりと密接な関係があります。

その肩甲骨の柔軟性を高めることが肩こり改善に効果があるのです。
ですから、肩甲骨の柔軟性を高めるストレッチが、肩こりに効くのです。

実は、肩甲骨は、数ある骨の中でも、異端児なんです。

●異端児ですか!?笑

はい。
あまり想像がつかないかもしれませんが、解剖学上、肩甲骨は肋骨と関節となっています。
再び専門用語となってしまうのですが、これを「肩甲胸郭関節」といいます。

ふつう関節の周りには筋肉以外に、靭帯などの結合組織があって関節を支えています。
結合組織とは筋肉でも骨でもない組織のことです。

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しかし、肩甲胸郭関節においては筋肉だけという事で異端児なんです。
なので、筋肉の状態が悪いと、モロに悪い影響が出てしまうのが首や肩を含めて肩甲骨周辺なのです。

逆に、筋肉に正しいアプローチをすれば、
改善効果も出やすい。よってストレッチが効くと言えます。

●なるほど!肩こりの人は、肩甲骨以外ですと、どの部分をストレッチするべきですか?

肩甲骨以外で肩こり改善ストレッチに効果的な部分は、胸や背中、股関節ですね。

●股関節も肩こりに影響があるんですか?

はい。股関節が硬いと、骨盤を正しく動かしづらいのです。

背筋が伸びているときって、骨盤が前に傾いていますよね。
逆に、姿勢が悪いときは、骨盤が後ろに下がってしまっています。

股関節と骨盤の状態は、姿勢に大きな影響を与えるので、
結果的に肩こりにつながります。

●肩こりは、肩だけが原因じゃなく、カラダ全体が影響しているんですね。
これを知らないと「肩こりだから肩や首のストレッチをすれば良いんだ」
という間違った考えになってしまいますよね。

おっしゃる通りです。

肩こりは、体の様々な不調の結果あらわれる症状なのです。
当院の患者さんで、首が凝っていたので自己流で首のストレッチをしていたら
悪化してしまったというケースもありました。

●マッサージとストレッチの違いはなんだと思いますか?
そして、どんな症状の方にはマッサージがいいですか?

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肩が凝ってしまっていたり、局部に痛みが出てしまっているなど、
症状がある場合はマッサージが有効ですね。

●なるほど、では症状が出ているものに対して、ストレッチは
効果はないですか?

今つらい症状を緩和する効果は小さいですが、
結果的に改善につながるとは思います。

肩こりの原因の多くは、不良姿勢だったりするので、
その根本原因に対してストレッチで同時にアプローチすることができますので。

ストレッチというと、運動する前の準備として行うというイメージが強いと思います。
この場合は、怪我に対する予防ですよね。不良姿勢が肩こりの原因としてあるので、
姿勢を悪くしないように予防するという意味でもストレッチは有効です。

要は、組み合わせが大事ということですね。

●なるほど。すでに症状が出てしまったものにはマッサージをし、
並行してストレッチをしていくことで、症状が出ないカラダにしていく
ということですね。

おっしゃる通りです。厳密には、肩こりを治すためにはマッサージやストレッチなど
体を弛めていく方向の処置だけではなく、筋力強化も必要になります。

しかし、肩こりなどの症状が軽い方は、ストレッチを習慣化するだけでも
症状がなくなっていくケースもたくさんありますよ。

●ストレッチの良さはどんな点だと思いますか?

まず、
「ご自身で簡単にできる」ということですね。
セルフケアとして継続しやすいという点はストレッチの良さです。

あとは、マッサージ店に比べて、ストレッチ専門店は、
「施術中の事故が起こりにくい」という点です。

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最近マッサージ店で問題になっているのは、
「無資格者による事故」です。
整体やリラクセーション店は資格がなくてもできるので、
お客様に対する事故が多発しています。

ストレッチ店も資格がなくてできるのですが、
前者に比べ、事故が圧倒的に少ないです。

●なぜ整体やリラクゼーション店は事故が起こりやすいんですか?

力を加えるからです。
ストレッチは力を加えるのではなく、伸ばすことがメインなので、
事故が起こりづらいのです。

●ストレッチ業界としてのメリットと言えますね。

そうですね。治療なのか、ほぐしなのか、
いろいろな種類のお店が増えてくると、
お悩みの方にとってもわかりづらいですよね。

なので、肩こりを改善したい方は、まず、治療を行って治したいのか、
ほぐしてもらってリラックスをしたいのか、目的を明確にすることが大切ですね。

●次にお聞きしたいのですが、セルフストレッチとプロにやってもらうストレッチでは、
何が違うと思われますか?

正しいストレッチができるかどうかですね。
専門家にしっかりチェックを受けてストレッチをするということが大事です。
自己流でやって、筋肉を痛めてしまうケースもあります。

例えセルフストレッチをメインに習慣化するにしても、
最初はプロに正しいストレッチを教えてもらうことがオススメです。

●丸山さんはなぜ肩こり専門にされたんですか?

一番の理由は、日本で肩こりを治せている人がいなかったからです。

肩こりって軽視されることが多いと思うんです。
肩こりが辛いから会社を休めないですよね?

でも肩こりで休職されている方も実はたくさんいらっしゃるんです。
そういった方々を救いたいという気持ちがあります。

私自身、相当肩こり・首こりに悩まされたので。
本当に辛かったんです。

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●ご自身の辛い体験が、今につながっているんですね。
肩こりは治せると言えますか?

治せます。そのためには、「治療」が必要です。

もちろん、症状がそんなにひどくない方は、
正しく行えばストレッチだけでも、症状を落ちるかせることは可能だと思います。

当院では、
症状が重くすでに痛みが出てしまっている方には、
マッサージや鍼で施術をし、まずは症状を軽減させます。

その上で、そもそも症状が出ないようなカラダづくりをしていくために
ストレッチを活用していきます。

根本改善には、日々の生活の中でのセルフストレッチも大事になってきます。
正しいストレッチの知識ややり方も教えていきます。

●丸山さんが掲げる「IDマッサージ」や「3D鍼(はり)」というフレーズが気になったのですが、
具体的に教えていただけますか?

IDとはIDカードのIDと同じで、「個別に識別する」という意味で、
例えば、肩や背中の筋肉と言っても、様々な筋肉があります。
その一つ一つに個別にアプローチをしていくのでIDマッサージと呼んでいます。

鍼は、刺す角度によって効果が変わってきます。
例え同じ部分に鍼を刺すとしても、その人の状態によって、適切な角度が違ってきます。

ですので3D鍼は、角度を重視した新しい概念の鍼治療なんです。
これまでの鍼は、2Dの視点でしか見られていなかったので。

●この知識はどうやって勉強されたんですか?
ものすごく深い知識じゃないですか。

いえ、まだまだ勉強中の身です。
人体解剖などにも興味があり、
修行時代には海外で勉強してきました。

●ある意味、筋肉オタクなんですね。笑
結局、プロの方ってみなさんオタクなんですよね。
とても尊敬します。


肩こりラスト
インタビュアー:小川敬司
撮影:濱高尚人
場所:肩こり研究所
プロフィール

五本木肩こり研究所 所長
丸山 太地(まるやま たいち)

日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中より
トレーナーとして活動。
平成18年に卒業後、東京医療専門学校にて国家資格を取得。
その後、上海中医薬大学への短期留学し、解剖学実習修了。
帰国後、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて解剖学実習修了。

学生時より行っているトレーナー活動で培った「動作分析」と
「体造り」のノウハウと鍼灸マッサージ治療を融合させることで、
プロアスリートや芸能人など結果を求める方からの支持も得る。
2012年に独立し、五本木肩こり研究所を開設。
根本原因へ対処する治療をモットーとし活躍中。

情報

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五本木肩こり研究所HP
http://gohongi-katakori.com/

丸山太地さんtwitter
https://twitter.com/maruyamataichi

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