ストレッチトレーナー育成の第一人者、長畑先生にストレッチ業界の核心を聞く!
(インタビュアー小川)●2001年という、まだストレッチ専門店がほとんどない中で、
すとれっち塾を立ち上げ、日本ストレッチング協会など、トレーナー育成においても業界の
先頭を走ってきた長畑先生に、業界についていろいろお聞きしていきたいです。
(長畑先生)よろしくお願いします。記事にできない部分もあるかもしれません。笑
●そういった部分もたくさんお聞きしたいです。笑
まずは、ストレッチ業界の問題点はどんなところだと思いますか?
そうですね、ストレッチ専門店の問題の一つが、
給料が安いお店も存在するということです。
給与が安くても、若い時の経験を積む場としては良いのですが、
一生の仕事にはできないですよね。
●確かにそうですね。
もちろん、
そういった部分をしっかり考えているストレッチ店の経営者も
いらっしゃるので、一概には言えませんが。
私はトレーナーのみなさんには、
「独立を目指してください」と伝えています。
技術を安売りすることはしてほしくないですし、
業界にとっても良いことではないですからね。
●普段は、ストレッチ専門店を、客さんの視点で見ることが多かったですが、
長畑先生の「働くトレーナーの視点」のご意見は新しい気づきをいただけるので有り難いです。
トレーナー育成に力を入れていますからね。
●ここ数年で、ストレッチ専門店が一気に増えていますが、
長畑先生はそれについてどう思われますか?
もちろん広がることは良いことだと思います。
ただ、先ほども言ったように、職業的にしっかり食べていけるのかということが心配ですね。
ストレッチ店を経営する方にお願いしたいのは、
儲け主義に走らず、働いているトレーナーにしっかりバックしてあげられる
お店づくりをしてほしいということですね。
●ストレッチ店が多くなればなるほど、
その部分が心配ですね。
経験を積んで、その次のステップとして、
自分でお店を出せるようになるという仕組みがあればいいんですけどね。
そういったキャリアアップができるのなら、若いうちは多少給料が安くても、
良いとは思っています。
●「ストレッチ店を広めたい」という想いが僕たちの中で強いのですが、
質の高いトレーナーさんがいて、初めて成り立つことだと思っています。
そういう意味で、トレーナーさんが働きやすい環境を整えていくことが経営者の役目ですね。
はい。僕のお店は、お客様へのパートナーストレッチももちろんやりますが、
どちらかというと、トレーナー育成の場という役割のほうが大きいんです。
●お店の名前も、「すとれっち塾」というフレーズを使っていますもんね。
他に、ストレッチ専門店の課題を挙げるとすると何がありますか?
「ストレッチだけですべて症状が解決するというわけではない」
この認識を持つことも大切ですね。
ストレッチとトレーニング。
この2つを組み合わせることが大事です。ストレッチだけやっていればOKという
認識は間違っていますからね。
緩んでいるところをもっと緩めてしまうと問題ですよね?
緩んでいる部分はトレーニングで鍛えて、
硬くなっているところはストレッチで緩める。
その人のカラダの状態に合わせてしっかりケアすることが根本改善には必要です。
●長畑先生は、日本ストレッチング協会を立ち上げられていますが、
この協会の役割はなんですか?
協会も、指導者育成の場ですね。
検定試験を行い、資格を発行しています。
質の高いトレーナーがここから生まれて、
その人たちが質の高いストレッチを広めていってほしいと思っています。
●日本ストレッチング協会とすとれっち塾のどちらも、
トレーナー育成の場なんですね。
目指すところはそこですね。
最近お客さんに直接ストレッチを施術してお金をいただくことをしていないですね。
僕ぜんぜん稼いでないですよ。笑
●いやいや、稼いでいる人をたくさん輩出していますよ。笑
長畑先生は、儲けたいということよりも、純粋に良い指導者を育成したい
という意識がとても強いですね。
そうですね。常に協会の目線になっていますね。
●少し話が変わりますが、
はじめての方に、ストレッチ店に来店してもらうためには、どんなことが大事だと思いますか?
「ストレッチにはこんな効果がありますよ」
というわかりやすいキーワードが必要なのではないでしょうか。
「これだったら行きたい」
という殺し文句みたいなものがあればいいですよね。
●なるほど!シンプルにわかりやすいキャッチコピーですね。
はい。
ただ、肩こりや腰痛に効くというのは、
マッサージでもうたってますからね。
もっと大きく、
「人生が変わります」とか、
「心も伸びろ」とかどうですか?
●「人生が変わります」って、大げさではないですよね!
そう思います。
ただ課題なのが、筋トレでマッチョになりました、とか、
ダイエットでこんなに痩せました、というような目み見える変化が、
伝えづらい部分はストレッチにはありますよね。
●前屈がこんなにできるようになった!
というのはどうでしょうか?
確かに前屈で地面に手がつくようになったり、
こんなに開脚だできるよになったというのはわかりやすいですよね。
ただ、前屈や開脚ができるようになったらどう人生が変わるのか、
というのはつながりにくいんですよね。
●うわ〜確かにそうですね。ここが、ストレッチを広めていく上での課題な気がします。
ここから、ストレッチと高齢者についてお聞きしたいのですが、
ストレッチは高齢者の方に対してどのくらい効果がありますか?
中高年から高齢者になる段階の中で、カラダの衰えというか変化がありますよね?
動けるカラダをキープするという目的で、ストレッチは効果的だと思います。
あとは、寝たきり予防としてもストレッチは効果があります。
寝たきりになってしまう一番の原因は、転倒です。
●転倒ですか?
はい。一番多いのは、転倒して骨折して
そのまま寝たきりになってしまうパターンです。
転倒さえしなければ、寝たきりになる可能性が圧倒的に減らせるんです。
ストレッチ店が「転倒予防教室」をやるのは価値があると思います。
●寝たきり予防って、キャッチコピーとしては良いですね。
長畑先生は、雑誌のストレッチ企画の監修などされていますが、
メディアがストレッチに求めることってなんですか?
一番多いのはやはり、「どれだけ柔らかくなったか」
という要素ですね。
ストレッチによる柔軟性の変化を期待するメディアが多いですね。
●腰痛や肩こり改善よりも、見た目にわかりやすいですもんね。
そういったメディアが求めるものを踏まえて、ストレッチの価値をどう
世間に伝えていくのかを考えていくべきですね。
これはストレッチナビの大きなテーマです。
インタビュアー:小川敬司
撮影:平田ちか
場所:すとれっち塾
ストレッチ専門店「すとれっち塾」塾長
日本ストレッチング協会 理事長
早稲田大学教育学部卒業順天堂大学大学院体育学専攻修了
長畑 芳仁(ながはた よしひと)
大阪府生まれ。
専門はスポーツ生理学、トレーニング科学、
ストレングス&コンディショニング。
リコーラグビー部ストレングスコーチ(97~06年)のほか、
多数の社会人・大学のボート部および日本代表ボートチームの
フィジカルサポート、カヌー、競輪、格闘技、ダンス選手等の
パーソナルトレーナーをつとめる。
2001年にストレッチ専門店「すとれっち塾戸田公園店」をOPEN。
数多くのストレッチトレーナーを輩出している。
雑誌ananやTarzanなどのストレッチ企画の監修を務める
ことも多く、自身の著書も多数。
著書
ストレッチまるわかり大辞典(ベースボールマガジン社 )
ストレッチバイブル(ベースボールマガジン社)
勝ちに行くボディマネジメント(山海堂)
勝ちに行くストレッチ(山海堂)
アクティブボディストレッチ(日東書院) 他
著者ページはこちら
情報
ストレッチ専門店「すとれっち塾」HP
http://stretch123.com/
長畑さんブログ
http://ameblo.jp/stretch123/
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