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運動前のストレッチ(1)


運動前のストレッチは時と場合による!?

少し前に、「運動前のストレッチは逆効果!」という、
少々過激なタイトル記事がたくさんインターネット上に溢れていました。

意外と大反響だったようで、
担当している選手やクライアントさんから
「あれって本当なんですか!?」と何度も聞かれました。

運動における安全管理やコンディショニングを仕事とする私としては、かなり驚きました。

ストレッチに関する正しい理解って、
意外とされていないものなのですよね。。。


答えは、「時と場合による」「ケースバイケース」です。

まず、理解していただきたいのは、
正しく安全な方法を選びましょうということです。

「安全」というのが一つ大切なキーワードだと思います。

確かに、ゆっくり伸ばすストレッチをたくさん行ってから運動をすると、
ジャンプ力などの瞬発力が落ちるという報告があります(Hough PA, et al. 2009.ほか)。

しかし、激しいスポーツや瞬発力を必要とする動作は
」一般的な運動とは別と考えたほうが良いでしょう。

日常的に競技をしているようなスポーツ選手ではない方が、

いきなりウォームアップをしないで運動を始めては体の準備がまだ整っていません。

過去にケガをしていたり慢性的に身体が硬くなりやすかったりする人は
特に気をつけてください。

わかりやすくするために、
朝ランを例に挙げてみましょう。


朝起きてすぐにランニングに出かけていく場合。

すぐさま走り出していませんか??
実際私もたまにやってしまうのですが、必ず後悔することになります。

身体は長時間同じ姿勢を保つだけで筋肉は固まり始めてきますので、
寝ている間は特にカチカチに固まっています。

筋繊維は温度が上昇することによって弾性が増すため、
血流が低い状態では伸びにくいのです。伸びないのに引き伸ばされるのは、
とてつもないストレスになります。

固まった筋肉たちは無理やり引っ張られることになるので、
肉離れや腱炎などの怪我にもなりかねません。

いきなり走り始めたことが原因で
アキレス腱炎やランナー膝になってしまい、
走れなくなってしまっては本末転倒ですよね。

そこで行うべきなのがウォームアップ、
すなわち運動前のストレッチ
です。


私は運動前のストレッチはウォームアップを捉えています。

ウォームアップが不足することは、
ケガ、とくに慢性的な痛みを引き起こす大きな要因です。

これから行う「走る」または「腕を振る」
という動作に似た動きを反動や弾みをつけながら行うことで、

筋肉に「これからたくさん動いてもらうから、頑張ってね!」と
予告してあげることができます。

筋肉はいきなり使われはじめて、なおかつ何分も何時間も酷使されては、
完全に「準備不足」になってしまいますので、しっかり動かしてあげることが大切です。

逆に、時間が夕方だったり、ほかにトレーニングを済ませてから走る場合、
ある程度体が温まっている状況の場合は、

長い時間ストレッチをする必要はなく、
軽く弾みをつけて行うストレッチ手法などを使って
短時間でウォームアップを済ませてしまっても構いません。

まさに、時と場合によって使い分けることができればベストですね。

自分の身体を労わるためにも、
運動前のストレッチは種類と量を考えながら十分に行うようにしましょう!

次回は、必要な「種類」「タイミング」「量」でストレッチを行う方法をお伝えします。


2015.8.6
プロフィール

全米アスレティックトレーナー協会(NATA)公認
アスレティックトレーナー(ATC)
PHIピラティスインストラクター
NASMパフォーマンスエンハンスメント
スペシャリスト
NASMコレクティブエクササイズスペシャリスト
井上 かなえ(いのうえ かなえ)

東海大学卒業後、アメリカネブラスカ大学オマハ校 大学院に留学しアスレティックトレーニング学において修士号を取得。 NATA公認アスレティックトレーナー(ATC)となる。
日米のプロ、実業団、大学、高校のバスケットボール チームにて専属トレーナーを歴任。
現在、東海大学男子バスケットボールSEAGULLSの アスレティックトレーナーとして活動する傍ら、 パーソナルトレーナーとしてトレーニングや機能改善 エクササイズ、ストレッチン グや栄養指導などをアスリートから一般の方まで幅広く行っている。

東海大学体育学部競技スポーツ学科非常勤講師
ヒューマンアカデミー東京校スポーツカレッジ
非常勤講師
セミナー講師など

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